「言いたいことはある。でも、あの単語が出てこない」
会話の途中で、一つの単語を探し続けてしまうことはありませんか。
例えば、お弁当を冷やすための保冷剤が欲しいとき。
英語の名前を思い出せなくても、使いたい目的から話せます。
I need something to keep my lunch cold.
お弁当を冷たいままにしておくための物が必要です。
これだけでは、保冷剤を指していると相手がすぐに分かるとは限りません。
そこで、どこで使う物かも加えてみます。
You put it in a lunch bag.
お弁当を入れるバッグの中に入れる物です。
こうして、知っている言葉で手がかりを足し、相手と確認しながら伝える方法があります。
今回は、「用途を説明する」「特徴を足す」「したいことを直接言う」という三つの練習を紹介します。
単語を覚える学習に加えて、単語が出ないときの話し方も用意していきましょう。
言い換えは、知らない単語を別の難しい単語に替えることだけではない
「言い換え」と聞くと、同じ意味の英単語を何個も覚えることだと思うかもしれません。
もちろん、別の単語で表せる場合もあります。
ただ、会話では物の用途や特徴を説明したり、抽象的な言葉を具体的なお願いに変えたりする方法も使えます。
前回の「理由づけ」練習では、自分の意見に理由を一つ添えました。
今回は、伝えたい内容が決まっているのに、表現が思い浮かばないときの練習です。
欧州評議会のCEFR Companion volumeでも、適切な表現が思いつかないときに説明で補うことや、
名前を思い出せない物の特徴を述べることが扱われています。
こうした方法は、会話を進めるための方略の一つです。
CEFR Companion volume(2020)「Compensating」
この記事の三つの分け方は、練習を進めやすくするための整理です。
これだけであらゆる内容を表せる、という意味ではありません。
方法1:「何に使う物か」を説明する
物の名前が出てこないときは、まず「それを使って何をするか」を考えてみましょう。
例えば、瓶を開ける道具を探しているなら、こう言えます。
I’m looking for something to open this bottle.
この瓶を開けるための物を探しています。
somethingは、ここでは名前を特定しない「何か」です。
to open this bottleで「この瓶を開けるための」と説明しています。
探している道具の名前を言えなくても、何をしたいかは伝えられます。
ただし、瓶のふたによって必要な道具は違います。
「瓶を開ける物」と言えば、必ず一種類の道具に決まるわけではありません。
実物を示したり、ふたの形を説明したりして、相手と確かめましょう。
物の説明として話すなら、次の形も使えます。
It’s something you use to open bottles.
瓶を開けるときに使う物です。
you use toの部分では、「人が〜するために使う」という用途を述べています。
このyouは、目の前の相手だけに限った意味ではありません。
長く感じる場合は、最初のI’m looking for something to…の形で、
自分が探している物を伝えるところから始めてください。
方法2:「大きな分類+特徴」で説明する
用途だけでは伝わりにくいときは、分かる範囲で物の種類を言い、特徴を一つ足します。
例えば、飛行機で使う首用の枕を説明する場面です。
It’s a small pillow.
小さな枕です。
You put it around your neck.
首の周りに当てて使います。
You can use it when you sleep on a plane.
飛行機の中で眠るときに使えます。
「枕」という分類に、「首の周り」「飛行機で眠るとき」という手がかりを足しました。
説明を始めるときは、物なら道具・袋・服、場所なら店・部屋・建物など、大きな分類から考えると整理しやすくなります。
そのあとに、形、大きさ、付いている物、使う場所などを一つ加えます。
いきなり全部の特徴を言う必要はありません。
色だけでは同じ物がたくさんある場合もあります。
相手が区別しやすい手がかりはどれか、考えてみましょう。
一つの長い文にまとめなくてもいい
分類と特徴を、無理に一文でつなぐ必要はありません。
例えば、ファスナー付きの小さな袋を説明するなら、こんな2文に分けられます。
It’s a small bag. It has a zipper.
小さな袋です。ファスナーが付いています。
まず種類。次に特徴。知っている短い文を順番に出してみましょう。
方法3:難しい言葉を探す代わりに、「したいこと」を直接言う
物の名前だけでなく、「予定の前倒し」「分量の調整」といった言葉を英語にしようとして止まることもあります。
そんなときは、その場で相手にどうしてほしいのかを具体的に考えます。
例えば、開始時刻を10時から9時に変えたいなら、こう頼めます。
Can we start at nine instead of ten?
10時ではなく、9時に始められますか?
「前倒し」という単語を探す代わりに、変更前と変更後の時刻を言っています。
instead ofは「〜の代わりに」という意味です。
料理の量を少なくしてほしいときなら、こんな言い方があります。
Could I have a smaller portion, please?
少なめの量にしてもらえますか?
portionは、ここでは食事の一人分の量です。
この単語が分からなければ、何を少なくしたいのかを直接言ってみましょう。
Could I have less rice, please?
ご飯を少なめにしてもらえますか?
ただし、「ご飯を減らす」と「料理全体を少なめにする」は同じ内容ではありません。
自分の希望に合う場合に使います。
言い換えるときは、簡単な英語にできたかだけでなく、伝えたかった内容が残っているかも確認しましょう。
単語が出ないことを、相手に伝えてもいい
会話の途中で表現を探しているなら、そのことを短く伝える方法もあります。
I can’t remember the word.
その単語が思い出せません。
Let me explain what I mean.
言いたいことを説明させてください。
そのあとに、用途や特徴を続けます。
最初の文は、「知っているはずの言葉が思い出せない」という場面に合います。
そもそも英語の名前を知らない場合は、次のように言えます。
I don’t know what it’s called in English.
それを英語で何と言うのか分かりません。
「思い出せない」と「知らない」を、自分の状況に合わせて使い分けましょう。
毎回長く前置きをする必要はなく、用途や希望から直接話し始めても構いません。
会話例:説明してから、相手の言葉を確認する
次は、金属のふたが付いた飲み物の瓶を示しながら、栓抜きを探す練習用の会話です。
Customer: I’m looking for something to open this bottle.
客:この瓶を開けるための物を探しています。
Staff: Do you mean a bottle opener?
店員:栓抜きのことですか?
Customer: Yes, that’s it. Do you sell them here?
客:はい、それです。ここで売っていますか?
Staff: Yes. They’re over there.
店員:はい。あちらにあります。
Do you mean…?は、「〜のことですか?」と確認する言い方です。
相手が候補を挙げてくれたら、自分が探している物か確かめます。
違っていた場合は、分かったふりをせず、違う点を足しましょう。
Not that one. I need a smaller one.
それではありません。もっと小さい物が必要です。
このoneは、すでに話題に出ている物の代わりに使っています。
説明は一度で完成しなくても大丈夫です。
相手の反応を見て手がかりを足し、同じ物をイメージできているか確かめていきます。
言い換えるときに残したい情報
短くしようとすると、元の意味まで変わってしまうことがあります。
次の三つを確認してみましょう。
- 何をしたいのか、何が必要なのか。
- 数、時刻、大きさなど、相手の行動に関係する条件。
- 好き・嫌いの強さや、できる・できないといった大事な違い。
例えば、「あまり好きではない」と伝えたいなら、次の文が使えます。
I don’t like it very much.
それはあまり好きではありません。
一方、次の文は、かなり強い嫌悪を示します。
I hate it.
それが大嫌いです。
短いからという理由だけで置き換えると、気持ちの強さが変わります。
また、10時から9時へ変えたいときに「別の時間にしたい」とだけ言えば、希望時刻はまだ伝わっていません。
省いてはいけない情報は、簡単な言葉でも残しましょう。
1日5分の言い換えトレーニング
身近な物や予定を一つ選び、次の順で練習します。
5分は取り組みやすくするための時間配分の例で、上達の期限や効果を保証するものではありません。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 1分目 | 物や場面を一つ選び、伝えたい内容を決める |
| 2分目 | 用途・特徴・したいことのうち、説明しやすい入口を選ぶ |
| 3分目 | 名前や難しい表現を使わず、短い英語で言ってみる |
| 4分目 | 相手が迷いそうな点に、手がかりを一つ足す |
| 5分目 | 辞書や教材で表現を確認し、メモを隠してもう一度言う |
練習のために、知っている単語をあえて使わず説明しても構いません。
ただし、実際の会話で名前を知っているなら、無理に遠回りする必要はありません。
練習後は、正式な名前や自然な言い方も確認します。
言い換えを試しながら、使える語句を少しずつ増やしていきましょう。
練習問題:例を見る前に、自分ならどう言うか考える
次の三つを、声に出して説明してみてください。答えは一つではありません。
問題1:保冷バッグを探しています。英語の名前を使わずに説明するなら?
解答例です。
I’m looking for a bag that keeps food cold.
食べ物を冷たいままにしておけるバッグを探しています。
bagという分類に、that keeps food coldで機能を加えています。
一文が難しければ、バッグが欲しいと伝えてから、冷たく保ちたいことを別の文で説明してみましょう。
問題2:開始時刻を10時から9時に変更したい。どうお願いする?
解答例です。
Can we start at nine instead of ten?
10時ではなく、9時に始められますか?
必要なら午前・午後も伝えます。どちらの時刻に変えたいのか、相手と確認してください。
問題3:小さな袋が欲しいけれど、サイズだけでは伝わりません。
何に使うかも加えるなら?
解答例です。
I need a small bag for my shoes.
靴を入れるための小さな袋が必要です。
ここでは、靴が入る大きさの袋を探している設定です。
「小さい」という相対的な言葉に、用途を足して伝えています。
例を読んだら、食べ物・時刻・入れる物を自分のことに替えて、メモを見ずにもう一度言ってみましょう。
今日の一歩:一つの単語を探す代わりに、手がかりを一つ出す
英語が出てこなくなったとき、使える方法は一つではありません。
物なら、何に使うのか。名前が分からなければ、どんな種類で、どんな特徴があるのか。
難しい表現で止まったら、その場で何をしたいのか。
このどれかから、知っている短い英語で話してみましょう。
そして相手の反応を見て、必要な情報を足します。
今日の練習は、身近な物を一つ選び、その名前を使わずに説明することです。
言えなかった部分を一つ確かめて、もう一度言ってみてください。
一人で声に出す練習から始めたい方は、独り言トレーニングも使えます。
練習した表現を実際の会話で使い、伝わりにくかった点を次の学習に戻していきましょう。
