「この英文なら、読めば意味が分かる。でも、自分で話そうとすると出てこない」
英単語や文法を勉強しているのに、会話では言葉が止まってしまう。そんなときは、勉強量を増やすことに加えて、知っている英語を自分の状況に合わせて口にする練習を取り入れてみましょう。
その方法の一つが、独り言トレーニングです。
目の前のこと、今の気持ち、これからの予定を、短い英語で声に出します。話し相手を探さなくても、身近な場面で始められるのが特徴です。
この記事では、初心者向けの例文と、1日10分の練習手順を紹介します。10分は始めやすくするための目安です。時間が取れない日は、一文を言うところから始めてください。
独り言トレーニングとは?今の自分を短い英語で表す練習
ここでいう独り言トレーニングは、自分の行動や気持ちを英語で言う練習です。
朝、飲み物を用意しているなら、こんな一文で十分です。
I’m making tea.
お茶をいれています。
外出前に少し時間があるなら、こう言えます。
I have a little time.
少し時間があります。
夜、疲れていたら、今の気持ちをそのまま言ってみましょう。
I’m tired.
疲れています。
長い話を作る必要はありません。まずは「今、何をしている?」「どんな気分?」「次に何をしたい?」のどれか一つを選びます。
British Councilの学習ガイドでも、一人で話す練習や、自分の話を録音して見直す方法が紹介されています。独り言は、人との会話へつなげる準備として取り入れられる練習です。British Councilの学習ガイド
「読める英語」と「自分で言える英語」をつなぐ
英文を見ると意味が分かることと、必要なときに自分でその英文を言うことは、同じ課題ではありません。
例えば、次の文を読める人でも、暑い部屋でとっさに言おうとすると、少し考えるかもしれません。
It’s hot in here.
ここは暑いです。
そこで、部屋が暑いと感じたときに、この一文を口にしてみます。あとから同じ場面になったら、英文を見ずにもう一度言えるか試します。
独り言では、このように「場面を見て、自分で英語を選ぶ」機会を作れます。
ただし、言葉が出ない理由は一つではありません。使いたい単語を知らないことも、文の形が分からないことも、間違えるのが気になって止まることもあります。
独り言だけで全部を解決しようとせず、言えなかった部分を次の学習の手がかりにしましょう。
初心者は、まず4つの文の形を使ってみよう
最初から何でも話そうとすると、題材選びだけで疲れてしまいます。まずは、今の自分に当てはめやすい形を少し用意しましょう。
1. 今の状態を言う
I’m sleepy.
眠いです。
I’m hungry.
お腹が空いています。
この形では、I’mのあとに状態を表す言葉を置きます。今の自分に合うものを選びましょう。
2. 今していることを言う
I’m making breakfast.
朝ごはんを作っています。
I’m looking for my keys.
鍵を探しています。
今している動作を表すときは、I’mのあとに動詞の-ing形を使えます。「朝ごはん」「鍵」のように、目の前のものを題材にすると考えやすくなります。
3. したいことを言う
I want to take a break.
休憩したいです。
I want to go for a walk.
散歩に行きたいです。
I want toのあとに、したい動作を続けます。「自分は今どうしたい?」を考える練習です。
4. する必要があることを言う
I need to leave soon.
もうすぐ出かける必要があります。
I need to buy some milk.
牛乳を買う必要があります。
I need toのあとに、必要な動作を続けます。予定を確認するときや、買い物の前に使ってみてください。
朝・外出前・夜に使える独り言の例
ここからの例は、練習用に作ったものです。すべて暗記する必要はありません。自分の生活に合う一文を選び、内容を少し変えてみましょう。
朝:今の気分と行動を言う
I’m still sleepy.
まだ眠いです。
I’m making breakfast.
朝ごはんを作っています。
I want some coffee.
コーヒーが欲しいです。
ここでのI wantのあとには、coffeeという物を置いています。動作を言うI want toと区別して使ってみましょう。
外出前:持ち物と予定を言う
I have my phone and my keys.
スマートフォンと鍵を持っています。
I need to leave soon.
もうすぐ出かける必要があります。
I’m going to meet a friend.
友達に会う予定です。
予定を言いたいときは、最後の文のようにI’m going toも使えます。まずは、自分が実際に予定していることに替えてみましょう。
夜:今日したことと次にしたいことを言う
I cooked dinner today.
今日は夕食を作りました。
It was good.
おいしかったです。
I want to go to bed early.
早く寝たいです。
今日したことを振り返るときは、cookedやwasのような過去形が使えます。現在の気持ちやこれからの希望は、次の短い文として加えれば大丈夫です。
一文を言えたら、「もう一言」を加える
一文が言いやすくなったら、理由や具体的な情報を一つ足してみましょう。
例えば、まず今の気持ちを言います。
I’m tired.
疲れています。
次に、理由を一文で加えます。
I had a busy day.
今日は忙しい一日でした。
さらに余裕があれば、これからどうしたいかを続けます。
I want to go to bed early.
早く寝たいです。
これで「気持ち→理由→希望」という短い話になります。一度に全部の英文を作ろうとせず、一文ずつ加えていきましょう。
好きなことでも練習できます。
I like cooking.
料理が好きです。
It’s relaxing.
リラックスできます。
まず一文。言えたら、もう一文。まだ難しければ、最初の一文だけでも練習になります。
1日10分の独り言トレーニング
次の時間配分は、この記事で提案する練習例です。毎日10分が取れない場合は、同じ手順を短くして使えます。
| 時間 | やること | 進め方 |
|---|---|---|
| 1分 | 場面を一つ決める | 朝の準備、今日の昼食、明日の予定などから選ぶ |
| 2分 | 短い英語を自分で言う | 例文を隠して、一文から三文を声に出す |
| 3分 | 一か所を変えて、もう一度言う | 飲み物、時間、気持ちなどを自分のことに替える |
| 2分 | 録音して聞く | 短く録音し、言えた部分と止まった部分を確認する |
| 2分 | 一つだけ確かめて言い直す | 辞書や音声付き教材で表現を確認し、もう一度言う |
例文を見る前に、一度自分で言ってみる
最初から正解を読み続けると、自分で言葉を選ぶ時間が少なくなります。
まずは、朝ごはんを用意している場面を思い浮かべて、一文言ってみましょう。止まったら例文を確認し、隠してもう一度言います。
例文を読んで練習する時間と、自分で思い出して言う時間の両方を作るのがポイントです。
同じ文の一か所を変える
毎回、まったく新しい話を作る必要はありません。
I’m making tea.
お茶をいれています。
I’m making coffee.
コーヒーをいれています。
このように、知っている文の一か所を変えてみます。慣れたら、そのあとに今の気持ちも加えましょう。
録音では、直すところを一つ選ぶ
録音を聞いたら、「どこで止まったか」「何を言おうとしていたか」を確かめます。
一度にすべての発音や文法を直そうとせず、今日は一つだけ確認しましょう。例えば、探している物を英語で言えなかったなら、その物の名前と使い方を調べます。
発音を確かめるときは、音声付きの辞書や教材と聞き比べます。音声入力で文字になったかどうかだけで、正しい発音とは判断しないようにしましょう。
英語が出ないときは、言いたい内容を小さくする
「朝から慌ただしくて、準備が思ったより進まない」
これを全部まとめて英語にしようとすると、難しく感じるかもしれません。
そんなときは、内容を短く分けます。
I’m busy this morning.
今朝は忙しいです。
I’m not ready yet.
まだ準備ができていません。
元の日本語の細かなニュアンスをすべて表せているわけではありませんが、「忙しい」「準備が終わっていない」という大事な情報を伝えられます。
日本語で考えること自体を禁止する必要はありません。困ったら、日本語でも短く整理し、知っている英語で言える部分から話してみましょう。
知らない表現を無理に推測して使い続けるより、ひとまず簡単に言って、あとで確かめる方が練習を進めやすくなります。
最初の7日間は、こんな題材で練習しよう
「何を話そう?」で迷う方は、次の練習メニューを使ってみてください。7日で話せるようになるという期限ではなく、題材を選ぶ手間を減らすための例です。
| 日 | 題材 | 練習すること |
|---|---|---|
| 1日目 | 今の気分 | 眠い、元気、お腹が空いたなどを一文で言う |
| 2日目 | 今していること | 飲み物を用意する、鍵を探すなどを言う |
| 3日目 | これからの予定 | 今日したいこと、必要なことを言う |
| 4日目 | 今日したこと | 出来事を一つ、過去形で言ってみる |
| 5日目 | 好きなこと | 好きなことを言い、理由をもう一文足す |
| 6日目 | 会話のつもりで答える | 自分に質問して、短く答える |
| 7日目 | 1日目の題材をもう一度 | 例文を隠して話し、最初の録音と比べる |
比べるときは、速さだけで評価しません。「メモを見ずに言えた文があるか」「言い直して伝えられたか」「内容を一つ加えられたか」を確認しましょう。
言えなかった部分は、次に練習する題材になります。
独り言を、実際の会話につなげる
独り言は、自分のペースで話せる練習です。実際の会話では、相手の話を聞き、質問に合わせて答える必要もあります。
慣れてきたら、自分に質問をして答えてみましょう。
What are you going to do today?
今日は何をする予定ですか?
I’m going to meet a friend.
友達に会う予定です。
We’re going to have lunch together.
一緒に昼食を食べる予定です。
この三文は、「予定を聞かれる→答える→情報を一つ足す」という練習です。
そのあと、人と話す機会があれば、練習した内容を使ってみてください。相手が違う質問をしたら、同じ答えを繰り返すのではなく、聞かれたことに合う一文を選びます。
欧州評議会のCEFR Companion volumeでも、身近な生活や予定を短い文で説明する力、表現を準備する力、会話でやり取りする力が扱われています。自分のことを短く話す練習から、相手とのやり取りへ広げていく際の参考になります。CEFR Companion volume(2020)
よくある疑問
頭の中で英語を考えるだけでもいい?
声を出せない場所では、頭の中で考えて構いません。ただし、実際に声に出すと、どの部分で言葉に詰まるか、音が言いにくいかも確認できます。可能な時間に、短い一文を声に出してみましょう。
文法を間違えたまま練習してもいい?
間違いを恐れて一言も言えなくなる必要はありません。一方で、間違いに気づいてもずっとそのままにするのは避けたいところです。
まず言ってみる。気になる一か所を確かめる。直した形でもう一度言う。この順番を習慣にしましょう。
毎日、違う話をした方がいい?
同じ話題を繰り返しても大丈夫です。昨日話した朝の準備について、今日は飲み物だけ替えてみる。そのくらいの変化から始められます。
どのくらい続ければ話せるようになる?
今の英語力や練習内容、実際に人と話す機会によって違います。まずは「この場面なら、一文を自分で言えた」という小さな変化を記録しましょう。独り言とあわせて、聞く練習や必要な語句・文法の学習も続けてください。
今日から始めるなら、一文を自分のことに替えてみよう
独り言トレーニングでは、今の自分に合う英語を一文選んで、声に出します。
言えたら、理由や具体的な情報をもう一文。詰まったら、言いたい内容を短くして、あとで一か所を確かめます。
今日の最初の一文は、こちらです。
I want to take a break.
休憩したいです。
今の自分に合わなければ、「散歩したい」「お茶を飲みたい」など、本当にしたいことに替えてみてください。例文を隠し、自分で言ってみるところまでが今日の練習です。
使える表現を探したい方は、使える英会話フレーズ100選から、自分の生活に合うものを一つ選んでみましょう。
一文に理由を足す練習へ進むなら、英語で自分の意見を伝える「理由づけ」練習も参考にしてください。
